2017年7月31日月曜日

The Handmaid’s Tale ネタバレ感想(長文)

"The Handmaid’s Tale" 全10話を観ました。

重たい…暗くて重たくてどうしようもなく希望の見えない、苦しい話が続くので、観るにはちょっと覚悟がいりますが、途中からハマりました。

*2024年5月、動画が非公開になっているので削除しました*

ストリーミングサービスの hulu オリジナルドラマですが、始まるころ、さかんにテレビCMで流れていて、おまけに第1話は無料で観られるというサービスがうちのケーブルテレビにあったため、第1話はけっこう前に観ました。

その第1話でかなりイヤなシーンがあって観る気を失い、そのまま放置してたんですが…夫が「すごくいいらしい」とどこかで聞きつけてきて、結局1話からいっしょに観ることに。

1話の例のシーンはやっぱりムリなんだけど、途中からハマって結局1週間くらいで全部(と言っても10話しかないけど)観てしまいました。

勢いで原作の翻訳本もアマゾンKindleで購入したので、読み終えたら本の感想もいずれ書きたいです。

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てかこの感想じたいもけっこう時間かかっちゃってるので、本の感想もいったいいつになるんやらって感じですが(´▽`;)


以下、ネタバレ含む、全10話を通しての感想をだらだら書きます。
※くわしいあらすじはありません



  • 登場人物(特に主人公)の気持ちをていねいに描こうとしているせいなのか、少しのろのろしたペースに感じたり、過去のフラッシュバックと現在がせわしなく行ったり来たりして、今いつの話なのかわかりづらいときもあり、若干イライラする場面もあった。

  • 嫌悪感をいだくような設定でも、全体的な作り方はうまいと思う。エミー賞のドラマ部門で作品賞にノミネートされているのも納得。

  • 「嫌悪感をいだく」というのは…近未来のアメリカで、妊娠の可能性がある女性たちが捕えられ、"Handmaid" つまり「侍女」に強制的にされてしまうという、恐ろしいストーリーだから。

  • 終盤、仲間のひとり(ジャニーン)を石打ちの刑にせよと命じられて「そんなことできるわけない」と侍女たちが全員、反抗というか従わないシーンはかなり胸がスッとした〜!同時に「あ〜あ〜、すごい体罰を受けるんじゃ…」とハラハラもしたけど、とりあえずその場でみんな惨殺…なんてことにはならずよかった。

  • 運転手ニックや "Commander" の本音がつかみきれず、彼らは本心から敵なのか、あるいは本気でジューンにひかれているのか、読めなかった。(ジューンには "Offred" という別名がつけられていますが、ここではあえてジューンという本名を使います。ちなみに "Offred" はドラマでは「オフレッド」と言ってるように聞こえますが、日本語の翻訳本では『オブフレッド』という表記がされてます)

  • ジューンはいつも暗い表情で、何か企んでるようにしか見えないときもあり(実際に企んでる場合もある)、この人が若いニックをどうやって魅了できたのか疑問。そもそもジューンはニックを本気で好きなのかどうかもずっと疑問だったけど、夫が生きてカナダに逃れたことを知ってもなおニックを頼ってる部分あったからそうなのかしら(´▽`;)

  • 実は最後まで、ニックって敵なのか味方なのかわからなかったけど、小説のネタバレを見てちょっとすっきり(これについては後述)。

  • このような社会に変わってまだそんなに時間が経ってないはずなのに、なんであそこまで今の体制がしみついちゃってるのか、納得いかない。決まりきったあいさつ("May the Lord open." "Blessed be."など)とか、へんてこりんな儀式の数々とか、侍女の教育方法とか…。もう何十年もやってきていているような印象を受けたけど、まだ数年の話だよね。まあそのへんは突っ込んでも答えはないんでしょうね。

  • (カナダ関係者しか思わないことだろうけど)モイラやルークがカナダにたどり着いたとき、本筋とは関係なく笑ってしまった。カナダが天国みたいに描かれてる〜!って。ちなみにアメリカがおかしくなってカナダに逃げようとする、という話は、最近では『ローガン』でもありました→『ローガン』の感想

  • モイラがオンタリオ(カナダ)に着いて難民救済センターみたいなところで手厚いサービスを受けているとき、ふと「なんでカナダは隣国があんなことになってるのにもっと積極的に助けてあげないの?」という疑問がわいてしまった。まあメキシコも助けるどころかギレアデを見習って侍女制度を導入しようとしてるくらいだから、逃げて来た人を受け入れてるだけでもマシなのかな。

  • カナダでのモイラとルークの再会シーンは泣けた。全10話をとおして最も涙したのがそこと石打ちの刑に反抗したところかな。


見るに耐えないシーン


第1話で耐えられなかったシーンは、ジューンが "Ceremony(儀式)" と称してレイプされる場面。

ふつうの(っていう言い方もヘンですが)レイプシーンでもひどいのに、このドラマでは何が耐えられないかって、そのやり方です。

※決して色っぽいシーンではないです

こういった行動を正当化するため(と言っても本人たちはこれが正当だと信じ込んでる場合もあるのがまた怖い)聖書のことばを引用しながら、レイプする男("Commander")の妻がベッドの上に足を広げて座り、そのあいだにジューンがすっぽり入り込んだ状態で行われるのです。

なんだそれ〜!!!

こんな屈辱的なしうちを受け続けるジューンを見るのもつらいけど、自分の夫が他の女性をレイプする(という感覚はないんでしょうね、きっと)のを目の前で目撃するという図もありえない。

悪趣味のきわみというより、病的、いや、完全に狂ってる。

そんなわけで、この場面で胸クソ悪くなって(言葉が汚くて失礼)もう観たくないな〜と最初思ったんです。

そのシーンについて語るエリザベス・モス(ジューン=Offred役)のインタビュー↓

Elisabeth Moss on 'The Handmaid's Tale' Rape Scenes


ほかにもむごい体罰(とはすでに呼べないレベルですが)のシーンや処刑シーンなんかは直視しないようにしました。そういうのって、あまり見すぎるとトラウマになるというか、夢見が悪くなるんですよね…(-_-;

このようにムカムカしたり目をそらしたくなる場面が出てくることがあるので、これから観る、という方は要注意です。そういうのダメな人はムリかも。


シーズン2はどうなる?


非常に重苦しく、腹が立つ話なんだけど、今後どうなるのか非常に気になります。

というのも、S1の最終話でジューンは武装した男たちに連れ出され、黒いバンに乗せられるところで終わってるから。

そのあとジューンはどうなっちゃうのーーー!?

カナダにたどり着いた、親友モイラとジューンの夫ルーク、そしてアメリカ(ギレアデ)側に残った娘ハナ、そしてとりあえず石打ちの刑はまぬがれたジャニーンのその後も気になります。


そんなわけで、前述のとおり、小説ではどうなってるのかググってみました。

原作のジューン(Offred)の話は実際ここで終わってるっぽい(詳細は英語ですがこちらで読めます)。が、シーズン2が更新されたので、今後は原作から完全に離れて創作するってことなのかも。

小説のあらすじ/感想/ネタバレ(?)は実際に読んでから書きたいと思います。


この話の怖いところ


また、ググってたときに映画評論家の町山智浩さんの文章(ラジオ放送の書き起こし)を見つけ、読んでみてびっくりしました。

町山智浩 TVドラマ『The Handmaid’s Tale(侍女の物語)』を語る
(※あらすじがかなり詳しく語られています)

町山さん曰く、原作者のマーガレット・アトウッドは、このお話に出てくる数々の女性虐待の表現の中に自分で想像したものはひとつもないのだと言うのです。

一瞬、「えっホント?!」と目を疑ってしまいますが、読み進めて行くと確かに…!って気づかされて驚愕。

この広い世の中には、ほんとうにこのギレアデのように女性を家畜扱いする社会がありえた(今もある)んだなあと…。

アメリカや日本みたいに発展した国であっても、トランプさんのように女性蔑視発言を平気でする人が大統領になる時代だし、完全にありえない話ではないんだなあと思うと背筋が凍ります。


ちなみに、聖書が諸悪の根源のように描かれているととらえる人もいるかもしれないですが、それが作者の意図ではないことも上述の町山さんの記事でわかります。

彼女は「女性差別に宗教を利用している人たちを批判」してるんですね。

そのような人は聖書の本来の意味をねじ曲げ、文脈を無視して自分たちの都合のいいように解釈(というか利用)します。実際そういう人はたっっくさんいます。個人レベルの話なら周りに及ぼす影響も少ないでしょうが、組織レベルになるとこういう狂った社会を導くことになりえる、そしてそれはただの絵空事ではなく、現実にありえるというのが怖すぎます。


映画版について


もとは1985年刊のカナダ人作家、マーガレット・アトウッドの同名小説(邦題は『侍女の物語』)ですが、1990年に映画化もされているそうです。

映画版の予告編を探してみたら、Offred 役の女性がめちゃくちゃきれい!

*2024年5月、動画が見られなくなっていたので削除しました*

調べてみたら、2009年にスキー事故のため45歳の若さで亡くなったナターシャ・リチャードソン(リーアム・ニーソンの奥さん)でした。全く映画には関係ない情報ですが、お母さんも女優のヴァネッサ・レッドグレイブなんですね!

ほかにもそうそうたるキャスト陣ですが、ドラマファンとしては『ダウントン・アビー』のコーラ役でおなじみのエリザベス・マクガヴァンがモイラ役で出てるのが非常に気になります。あの女性らしいコーラがどんなモイラ(ドラマではかなりボーイッシュ)を演じるのか観てみたいなあ。

(このように映画がテレビドラマ化されたり、かつてはわりときっぱり「映画俳優」「TV俳優」とわかれていたのが最近は境界線がなくなってきた傾向にあって、映画ブログとTVブログのどちらに書こうか迷ってしまうことがあります。そこで、この2つのブログをいずれは一本化しようかなあと考え中…)


ものすご〜く長くなっちゃったので、キャストについては別途。
ゲームオブスローンズの感想も書きたいので、そのあとになるかも?

Posted on Monday, July 31, 2017
(きゃー今日で7月も終わる!)

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