2023年8月16日水曜日

映画『バービー』の感想のおまけ・その2(ちょっとシニカル)

『バービー』観た直後に、ふたつ記事を書きましたが(感想おまけ)まだ書いてない部分で、どうも心にひっかかることがありました。

それは、マテルという会社の関わり。

以下、うっすらネタバレを含みます。



映画が始まってすぐ、クレジットに「マテル」という名前が出てきて、そのあと、「マテル」はバービーを作っている会社だとわかりました。

しかし、映画の中のマテルはどちらかいうと「悪者」の立ち位置で、女の子の活躍するおもちゃの会社なのに、重役はすべて男性です。

これに私は「ん?なんでわざわざ、自分たちを悪く見せる映画を作った(あるいはOKを出した)の?」と疑問に思ったんですよね。

マテルが悪役として描かれていても、結果的にはこの映画って、バービーの巨大なプロモーションになってるわけで、売り上げ爆増はまちがいないでしょう。

…なんてことを漠然と思っていたら、私が思ったことをスッキリ言葉にしてくれてる動画がありました。カナダ人ユーチューバー、Broey Deschanel という人の動画です。

30分以上ありますが、マテルの話は12分20秒あたりで始まります。英語ですが、字幕を出すこともできます。


Feeling Cynical About Barbie @BroeyDeschanel


私はこの人ほどシニカルではないけれど、ぼんやり感じたことを明確に言語化してくれているので、ウンウンうなずいてしまいました。

たとえば、「バービーは子どものおもちゃだけど、この映画はミレニアル世代や、年配(という言い方はおかしいけど、他にふさわしい言葉が見当たらない)のGen Z、つまり大人をターゲットにしている」みたいな話。

確かにそうだよね…と。

考えてみたら、今42歳のライアン・ゴスリングが今の子どもにどう映るかって…そりゃ、おじさんですよね。私は大好きだけどね。

"If you can't make kids love her, you better well sell her to the adult babies who will." 😂
(意訳:子どもにウケないなら大人に売ればいい)

バービーと遊んで育った今の大人(ミレニアル〜年配 Gen Z)にしたら、バービーは郷愁を感じる "懐かしいお人形" だし、Gen X にも人気のあるライアンを起用したのもうまいですね。

それに続いて、ディズニーを見習った、という話も目からウロコ&納得でした。

確かにディズニーは、今の大人が子どもの頃に見て育ったアニメ映画を次々と実写化していますからね。それで議論も呼んでいますが…。

「マテルが自分自身を悪者に仕立て上げてる」疑問に関しても Broey は言及していて、結論としては「観客より先に自分で自分を批判しておけばセーフ」的な戦略に成功している、と。

なんだかんだ言って、ウィル・フェレル演じる CEO 含め、スーツのおえらいさんたちはコミカルでバカっぽい存在として描かれていて現実味も薄いし、現実社会のマテルに与える打撃は少ないでしょう。

とにかく、この映画はマテルが「ヒップな企業」である、というイメージ回復のために作られたんだ、というのが Broey の持論。

企業イメージはともかく、マテルの利益につながってるのは確実。一消費者としては、わかっちゃいるけどいろいろグッズを買い集めたくなる気持ちもわかります。バービー人形はいらないけど(笑)。


ところで、ツイッター(現X)で、映画の冒頭で少女たちが赤ちゃん人形をたたき壊すシーンが不快だ、というのを見かけて驚いています。

それに関して「昔の映画のパロディなんだけど…」と冷笑するようなコメントや、「パロディとか関係ない、こういう行為そのものが不快」のようなコメントなど、いろんな視点が見えて興味深い。

確かに、元ネタを知らない人には不快だろうし、驚くだろうし、意味がわからないでしょうね。知ってても不快な人もいるんだということも知りましたが。

私は元ネタ(『2001年宇宙の旅』)を知ってるし、そもそも感想記事にも書いたとおり、ティーザーで見てしまっていたので、映画を観たときは「出た出た。ティーザー見るんじゃなかったな、知らなければもっとおもしろかっただろうに」という感想しかなかった(苦笑)。

モアナラニさんという方の、『2001年宇宙の旅』はたくさんオマージュされてきているのでアメリカの観客は「知ってる」前提だと思う言葉(こちら)がわかりやすいと感じました。

日本でも、大昔のテレビコマーシャルであの有名な部分が使われていたことがある気がするんだけど(少なくとも私は日本に住んでた時代に知った)、今はもうオマージュもされず、日本の今の若者は知らない人が多いということかな。

やっぱり外国の映画は、その国の文化や社会背景など知らないとわからない場合は多いでしょうね。

バービー人形自体も日本の文化にそこまで浸透してないと思うしね。

逆に、日本の映画を外国の人が見て、「??」と思う場面も多いだろうし、もうこれは仕方のないことなんでしょうね。


これ、けっこう前に書いたのだけど、細かいところを直そうと思って放置してたらいつものごとく遅くなりました(苦笑)。

今は『ウォーキング・デッド』シーズン10以降をようやく見始めていまして、ぜんぶ見終わったら一気に感想を書きたいなと思っています。その前にグレイズ・アナトミーの感想も書かないと(´▽`;)

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ミレニアル、Gen Zなどの世代の大体の分け目: 

●ミレニアル:1980年代はじめ〜1990年代半ば生まれ(現在40歳前後から20代後半)
●Gen Z:1990年代半ば〜2010年代はじめ生まれ(現在10代から20代半ば)

なお、Beresford Research の "Age Range by Generation" のページによれば、よく耳にする「ブーマー」世代は1946年から1964年生まれ、1965年〜1980年生まれはジェネレーションX(Gen X)。

つまりトム・クルーズもブーマーかあ。Gen X の私にとって、ブーマーってかなりお年寄りなイメージだったけど、幅がとても広いんですね。1964年生まれなら今まだ50代だし、ブーマーって呼ばれたくないだろうな(・Θ・;)

そのサイトには細かい年や2023年時点の年齢も書かれているので興味ある方はどうぞ:Generations defined by name, birth year, and ages in 2023

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『バービー(原題 "Barbie")』感想

「バーベンハイマー」の件(映画『バービー』の感想のおまけ)


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