2018年1月28日日曜日

グレイズ・アナトミー、人種の割合の不思議

シーズン14・第10話の感想にちらっと書いた「人種の割合」について思うこと。
長くなりそうだし、ドラマの内容とは関係ない話なので別記事にしました。


私は『グレイズ・アナトミー』の舞台であるワシントン州シアトル市内に2年半ほど住んでいたことがあり、そのあとも最低年に1回は遊びに行っているので、もちろん地元民には全く及びませんが、シアトルの雰囲気はわりとわかるつもりです。

シアトルというのは、ニューヨークほどではないけど「人種のるつぼ」的な街で、黒人もアジア系もたくさんいますが、マイノリティの中で圧倒的に多いのはアジア系です。

アメリカの中でアジアからいちばん近いからでしょうか(アラスカのぞく)。

だから、『グレイズ・アナトミー』のメインキャストにアジア系が少ないのを前々から「シアトルらしくない」と感じていました。


唯一のアジア系医師、クリスティーナも去ってしまったし…(画像はFacebookより)


ちなみに私がシアトル時代に病院に行ったのは3回だけ(うち2回は歯医者さん)ですが、黒人のお医者さんを見かけたことはありません。

私の「感覚」だけじゃ頼りないので、Statistical Atlas というサイトの統計を確認してみました:


シアトル市内 ワシントン州
白人 66.7% 71.9%
ヒスパニック 6.18% 11.3%
黒人 7.41% 3.59%
アジア人 14.1% 7.32%
ミックス 4.55% 3.94%
その他 1.10% 1.93%

(ソース:https://statisticalatlas.com/place/Washington/Seattle/Race-and-Ethnicity ←年代による差も載っているので興味深いです)

これを見ると、ワシントン州全体でもシアトル市内でも、アジア人は黒人の倍ほどいることになります。

また、2008年の調査によれば、『グレイズ』のグレイ・スローン・メモリアル病院の黒人医師の多さ、アジア人医師の少なさが現実に即していないことが明らかになります。

Washington State's Practicing Physician Workforce - Capacity and Characteristics
このサイト↑の2ページめの表(Table 1)を見ると、

・ワシントン州全体の医師のうち、およそ71%が男性
・最も多い人種は白人(83.8%)、次がアジア人(11.9%)、黒人はわずか1%
・つまりアジア人医師の割合は黒人医師の約12倍!

ということがわかるのです。

ところが、シーズン13のメインキャスト(Wikipediaより)を見てみると、

  1. メレディス・グレイ
  2. アレックス・カレフ
  3. オーエン・ハント
  4. アリゾナ・ロビンス
  5. エイプリル・ケプナー
  6. アミリア・シェパード
  7. ジョー・ウィルソン
  8. ネイサン・リグズ
  9. アンドリュー・デルーカ(←イタリア人だけど白人枠に入れてみた)
  1. ミランダ・ベイリー
  2. リチャード・ウェバー
  3. ジャクソン・エイブリー
  4. ステファニー・エドワーズ
  5. マギー・ピアース
  6. ベン・ウォーレン

と、なんと、白人 : 黒人の比率が 9:6、つまり 3:2 …Σ(゚∇゚*)!!

そのうえ、リカーリング・キャストにも、ゲスト・キャストのリストにも、現在アジア人医師はひとりもいません(→o←)

さすがにおかしいだろうこれは。

ついでにいうと、メインキャストの医師15人中、半数以上の8人が女性医師というのも、上述のとおり7割強が男性のはずの統計からすると現実離れしてます。


たまたま、私と全く同じことを感じて観るのをやめたという人の記事を見つけたので、リンク貼っておきます:

WHY ARE ASIANS SO RARE ON SHONDA RHIMES' HIT TV SHOWS?
(ションダ・ライムスのTVドラマにはなぜアジア人がめったに出てこないんだ?)

この一文がとくに好きです:
We never noticed this binary construct until after Sandra Oh left Grey's. That when it occurred to us: the series is set in Seattle... where the hell are all the Asians?
(大意:「サンドラ・オーがグレイズからいなくなるまで気づかなかったけど、このドラマ、シアトルが舞台のはずなのに、アジア人はいったいどこにいるんだ?」)

まったくだ!(笑)
そう感じてるのは私だけじゃなかった!

シアトルなのに、医師だけでなく患者にもほとんどアジア人が出てこないってどういうことなの、ションダさん!

(どうでもいいけど、その唯一のアジア人医師を演じたサンドラ・オーはカナダ人なんだけどね…)

アジア系の出番がないのはションダさんのドラマに限ったことではないと思うし、むしろ彼女はマイノリティを積極的にメインにもってきて成功した功績はすごいと思いますが、でもやっぱりアジア系が出てこなすぎますね。

『殺人を無罪にする方法』に黒人キャラが多いのは気にならないんだけど、医療ドラマにアジア系医師がいないのはリアリティなさすぎだと思うので、ションダさんには今後ぜひ、アジア系の新キャラ投入をご検討いただきたいです。

ションダさんが黒人女性だから、白人や男性よりチャンスが少ない黒人/女性たちに活躍の場を提供しているのかなあという気もしますが、アジア人を出さないなら舞台をシアトルに設定すべきではなかったでしょう。


Sunday, January 28, 2018

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